■ メールマガジン「貴婦人電報」のご紹介



「俺、この戦争が終わったら結婚を申し込もうと思ってる人がいるんですよ」


工兵のボブは頬を赤らめながら、泥に塗れた野戦服の胸元からロケットペンダントを取り出した。


「そうか…。大丈夫、戦争はもうじき終わる。で、その相手ってのはどんな娘なんだい?」


俺の声が聞こえないのか、巨体を小さく丸め、厳つい両手で包んだペンダントの写真に魅入っているボブ。その背後を通りかかったエース軍曹が、写真と俺の顔を交互に見比べ、小さく呻いてその場を立ち去った。


あれから30年。
写真の人物が誰だったのか、今となっては知る術も無い。 ひとつ確かなのは、戦争が多くの若者の未来を奪ったという現実だ。


貴婦人電報 第四十話より



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