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種々雑多

バックナンバー:2001年1月分


クスリ売りの男 2001年1月29日(月)
 岩のように固いパンと、味気ないスープと、モノクロの夢しかない町に男がやって来たのは、冬の足音迫る10月半ばのことだった。
 男の運転するトラックの荷台には、やわらかいパンと、クリーミーなスープと、楽しい夢の見れるクスリが積まれていた。
 男が町で商売を始めるなり、パンとスープとクスリは飛ぶように売れた。
 町の人々が商品の味をしめた所で、それらの値段は2倍になった。
 それでも売れ行きは好調だったので、値段は3倍、4倍にと上がっていった。

 商品の値段が10倍になった頃、パンとスープの売れ行きが悪くなった。
 町の人々は、パンとスープを我慢して、クスリだけを買い求めるようになったのだ。

 町に初雪が舞った12月のある日、クスリの値段は男が初めて町に現れた時の100倍になった。  パンとスープは全く売れなくなり、人々は皆一様に青白く痩せ細った顔で瞳をギラつかせながらクスリを求めた。
 クスリや、クスリを買う金を巡って争いが起き始めた。

 そして津々と雪の降るイブの夜のこと。
 カゴに入った売り物のマッチ全部と引き換えに、クスリの最後の一粒を少女に渡すと、男は「ふふん」と笑って静まり返った町の出口を目指した。
(小林隆英/STUDIO-蔵)


逃げるとは背を向けること 2001年1月30日(火)
 2年ほど前、銃を向けられた事があります。しかも日本で。
 サイクリングロードを走っていると、ホント、突然です。道の小脇で見知らぬ男が猟銃をこちらに向け、サイトを覗いているではありませんか。もう撃つ気マンマンです。こちらは逃げる気マンマンです。
 と言っても、突然向きを変えるのは不自然極まりなく、彼を刺激する恐れがあります。しかし、このまま直進すれば彼の弾幕に飛び込むのは必至。戻るべきか行くべきか?僕は行く道を選びましたね。やはり、彼に背を向ける方が危険だと判断したからです。これぞ大人の判断ってやつですね。スバラシイ。
 行くとなると当然彼の横を通り過ぎるわけですが、僕が移動するのに合わせ、彼は巧みに銃口を向けてくるではありませんか。このまま行くと彼の横を通り過ぎた後、結局僕は彼に背後を取られてしまうわけです。とんだアマチャンでしたよ。大人の判断が聞いて呆れます。
 もうそうなると必死ですね。逃げましたよ、全速力で。古風に言えばスタコラサッサ。
 「逃げるとは背を向けること」、それを逆説的に思い知った初夏の出来事。
(青木太臣/STUDIO-蔵)


映画日記 2001年1月31日(水)
チャン・イーモウの『紅いコーリャン』を観た。

内容うんぬんよりも、主人公達の村を襲う日本軍の日本語のヘタさかげんに笑えた。

「オイ、オマエ!(おい、お前!)」「オマエ、パカァ!(お前、バカァ!)」
「バゲヤロドモニイテオケ!(バカヤロウどもに言っておけ!)」
「ハヤクタペタイナー(早く食べたいなー)」「ハヤクヤケテ(早く焼けて)」
「マズソダナー(不味そうだなー)」「タペタクナイナー(食べたくないなー)」
「モウイカナー(もういいかなー)」「タイチョプ、タイチョプ(大丈夫、大丈夫)」
「アノヌクヤニコブンヲコロスタヤツノカワヲハゲトイエ!
 (あの肉屋に子分を殺したやつの皮をはげと言え!)」
「ナゼヤラナインダ!バゲヤロ!スンナラヤヅヲゴロセ!
 (何故やらないんだ!バカヤロウ!それなら奴を殺せ!)」

感動ではなく爆笑を期待するならオススメの一本です。
(青木秀雄/STUDIO-蔵)


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