あっくんだった。
「おはようパパ」
おかしな角度に頭を倒したまま、生気の無い瞳だけをギョロリとこちらに向けて、あっくんが言った。
・ ・ ・
ふと気付くと、私はリビングに仰向けで倒れていた。
眠っていたのか、気を失っていたのか…だいたい、いつからここでこうしていたのか、それすら思い出せない。靄を払うように頭を振りながら上体を起こしたところで、私は室内に自分以外の人間がいることに気付いた。
視界に入ってきた人物は2人。
眼前に身長170cm程の男の後ろ姿。そしてその向こう側には、男と向かい合うように床に座り込み、泣きじゃくる少年がいた。男も少年も私には気付いていない様子だ。
男はゆっくりと少年の前に立つと、片膝を着いて屈み込み、その細い首に両の手をかけた。
「やめろ!」
事情は全く飲み込めなかったが、男が少年に危害を加えようとしたのを見て思わず私は叫んだ。
後ろ姿の男は私の声にピクリと反応し、手を止めた。しばしの沈黙の後、ゆらりと立
ち上がり、こちらを振り向く男………
もう1人の私がそこにいた。
・ ・ ・
あれからどれだけの時間が流れただろうか。私は立ち歩くこともできなくなった肉体を病院のベッドに横たえ、窓枠に四角く切り取られた、高い高い秋空を見上げている。
妻と2人の子供、5人の孫達はみな優しく暖かく、私に生きる希望を与えてくれる。
日課である見舞いに来ていた妻が、いましがた部屋を出て行った。部屋の外から「ガチャリ」と扉に鍵をかける音が、私の脳に鈍く響いた。
・ ・ ・
「ご苦労さん」
○○県○○市。精神障害を持つ患者を収容する特別医療施設。
巡回中のナースが病室から出てきたのを見つけ、声をかける医師。
「あ、先生。ご苦労さまです。ここの患者さん、私のコト奥さんだと思って話し掛けてくるんですよ。………この患者さんですよね。精神鑑定で責任無能力になって…」
「ああ、先月あった殺人事件ね、泣き声が五月蝿くて自分の子供殺したってヤツだっけ。奥さんなんかとっくに逃げちゃってるのになぁ」
2人は次の休日を共に過ごす約束を交わすと、お互いの仕事に戻っていった。
・ ・ ・
時を同じくして、月の軌道上から青い地球を見つめる無気味な瞳があった。
大航海時代を彷佛とさせる船長ルックに身を包み、顔には大きな古傷とカイゼル髭、そして眼帯。右腕は手首から先がカギ爪になっている。
荒くれ宇宙海賊ボンゴレスキー一家の親玉、ムーチョ・デ・ボンゴレスキーその人である。
「ヘッヘッヘ、なかなか綺麗な星じゃあねえか。占領して丸ごと売り払えばいい金になりそうだぜ。行くぞ野郎共!!」
今、地球に未曾有の危機が迫る!
種々雑多リレー小説「最終更新」、次回堂々の最終回(たぶん)!!
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