戦闘の行われている市街地で取材を始めて3日目、事は起こった。
今、私がカメラのファインダーに収めている男は、ライフルのスコープ越しに私を捕らえている。
スナイパーだ。カメラが銃器に見えるらしく、警戒を解く気配は無い。
私がジャーナリストであることを伝えるべく語りかけてみるものの、距離が離れ過ぎており声は届かないようだ。中央広場の噴水を挟み、ゆうに1時間は経っているだろう。
次第に近くなる空爆に痺れを切らした私は、意を決すると大きく一歩前に出だ。スナイパーが同じ行動を取ったのと同時だった。
走る緊張…しかし銃声は無い。もっとも私は発砲したくてもできないのだが。
噴水を中心に正対したまま、どちらからともなくジリジリと円の移動が始まった。
やがて、私がゆっくりと片手をカメラから放すと、申し合わせたようにスナイパーも、ライフルを支える左手を降ろした。
時計回りに歩みを維持しながら、しかしこの時、私の中には奇妙な感情と疑問が芽生え始めていたのだ。
「TVスペシャル 仰天!奇跡の再会(エリック兄弟編)」より
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